こんにちは。弁護士の矢野京介です。今回は、離婚問題における「調査官調査」についてお話いたします。
お子様がおられる夫婦間の離婚問題は、未成年の子どもにも大きな影響を及ぼす問題でもあります。家庭裁判所では、大人同士の紛争であっても子どもが影響を受ける事項については、子どもの選択権を尊重する傾向が強く、そのため、親権や面会交流が争点となる離婚事件の場合、家庭裁判所の調査官による調査を行うという話が出ることが多くあります。
調査官調査は、当事者の主張立証とは別に、裁判所の権限で行う事実の調査として行われるものです。調査の方法は、基本的に調査対象者との個別面談により行われます。当事者である夫婦、未成年の子ども、監護を手伝っている親族、幼稚園や保育園・学校などの関係機関です。面談の日時は、事前に調整され行われます。なお、未成年の子どもとの面談は、監護環境や親子関係の調査も兼ねて調査官が家庭訪問することが多く、裁判所の面談室で遊具を用いた心理テストが行われることもあります。
調査結果は、調査官によって「調査報告書」として裁判所へ報告されます。裁判所は、調査報告書を見た上で、親権者や監護権者をどうするのか、面会交流についてどうやって解決するべきなのかなどの判断を行います。なお、基本的には、子どもの年齢が14歳以上であれば、その意向は重視されるとされています。調査結果は、裁判所を拘束するものではありませんが、調査官の意見と正反対の判断を裁判所が下す可能性はかなり少なく、調査官の報告書が親権などの判断においては最も重要となってきます。
離婚を考えているけれど子どもの親権は手放したくないという方や、お子様との面会交流でお悩みの方は、一度専門家に相談することをお勧めいたします。