こんにちは。弁護士の矢野京介です。今回のテーマは、「行方不明の外国人配偶者との離婚」です。
外国人配偶者と離婚したいけれど、配偶者が自国に帰ったまま戻らず行方不明になってしまっているようなケースでは、どのように離婚の話を進めたらよいのでしょうか。このようなケースでは、協議や調停を通じた離婚の話し合いをすることは困難ですので、日本国内で離婚訴訟を提起する方法で離婚を成立させることを念頭におき、手続きを進めます。
離婚訴訟を提起する場合、訴訟書類を被告である配偶者に送達しなくてはなりません。しかし、配偶者が行方不明の場合には、直接交付することができないため、「公示送達」という方法を取ります。公示送達とは、相手方の住居所等が分からない場合に、訴状が届いたものとみなす制度です。そして、公示送達の方法で手続きを行うためには、相手方の所在が不明であることを裁判所に証明しなくてはなりません。相手方が行方不明であることを裁判所に証明する手段としては、把握している相手方の住所に郵便を送り、それが返送されたことを確認して、相手方が所在不明であることを証明します。また、弁護士が23条照会という手続きを利用して相手方の出入国歴を調査することにより、相手方が現在日本にいるのか、少なくとも日本にはいないのかを確認することができます。以上のような方法で相手方の行方が分からないことの証拠を作り、その証拠とともに裁判所に離婚訴訟を提起します。裁判所が、相手方の所在が不明であることを認めると「公示送達」という方法をとり、相手方に送達したものとして扱います。公示送達後は、一般的な離婚裁判と同じです。
外国人配偶者が行方不明の場合の離婚手続きは一筋縄ではいきませんので、専門家に相談されることをお勧めいたします。