こんにちは。弁護士の矢野京介です。今回は、協議離婚と調停離婚の違いやそれぞれのメリットデメリットについてお話いたします。
協議離婚と調停離婚は、両者の話し合いによって離婚するという点では共通します。しかし、その話し合いを当事者のみで行うのか、第三者が間に入るかが大きく異なる点でしょう。協議離婚では基本的に夫婦2人でのみ話し合うのに対し、調停離婚では裁判官のほか調停委員と呼ばれる専門家が間に入って話し合いをするので、相手と直接話をする必要がありません。
また、離婚成立後のトラブル回避のために、離婚条件などを文書に残しておくことが望ましいのですが、協議離婚は「離婚協議書」を作成することが多いのに対し、調停離婚では裁判所が「調停調書」を作成します。両者の違いは執行力の有無です。特に離婚条件に養育費や慰謝料等債権の支払が含まれていて、その内容が守られなかった場合、執行力のある調停調書があれば強制執行を行うことができます。一方、離婚協議書は執行力がないため、強制執行を行うには裁判手続きを経なければ対応できません。離婚協議書に執行力を付与するには、「公正証書」にしておく必要があります。
戸籍への記載内容にも違いがあります。協議離婚であれば離婚日のみが記載されますが、調停離婚であれば、離婚した日付の前に「離婚の調停成立日」という文言が入ります。
その他、費用面や離婚までに要する時間も、協議離婚と調停離婚では違いがあり、適切な離婚の進め方は状況により異なりますので、離婚でお悩みの方は、一度専門家に相談されることをお勧めいたします。