こんにちは。弁護士の矢野京介です。今回のテーマは「準婚姻契約」です。同性婚が認められないのは憲法に違反するとして国に賠償を求めた裁判で、今年3月14日、東京地裁は、直ちに憲法に違反するとまでは言えないとして訴えを退けました。しかし、その一方で「違憲状態」であると指摘し、国会に向けて同性カップルのための制度設計を求めました。
同性婚に対する理解が進んできたとはいえ、いまだ十分な保証がなされているとは言い難い日本で、住居や相続、医療等の場面で婚姻関係にあれば当然得ることが出来る利益を同棲カップルが得るために、現行の法制度の下でできることはあるのでしょうか。
最近、自治体によっては婚姻と同等であることを承認し証明書を発行してくれる「パートナーシップ制度」を導入するところが増えてきました。お住いの自治体で制度を導入していれば、利用を検討されるとよいのですが、まだごく一部の自治体に限られています。そこで、同性婚が法的に整備されるまでの間は、「準婚姻契約」を締結することで、同性婚が認められない不利益を緩和することができます。
同性カップルは、法律上は夫婦ではありませんので、法律婚をした男女間に生じる同居・協力義務、貞操義務、扶養義務、子どもの監護養育、離婚時の財産分与などの権利や義務が生じることはありません。そこで、これらの事項をパートナー同士で合意して準婚姻契約書に記載し締結することで、法律婚の夫婦と同様の権利義務をお互いに課すことができます。
また、準婚姻契約書を公正証書にすることで、医療上の同意等に関する不利益や住宅ローンの利用にあたっての不利益を緩和できる可能性もあります。同性婚でお悩みの方は、専門家に相談されることをお勧めします。