文化

日本国の未来は(51) 浦安歴史物語 東葛飾郡浦安町 海、川編 富士屋商事社長 志田健司

 記憶に残るのは私が10歳位の夏のある日。江戸川の境川西水門の近くでは、まだ漁業は盛んでした。私の家も佃煮屋を製造販売で営んでいましたので、取引のある漁師の人から一緒にあみじゃこ漁につれていってもらった事があります。

富士屋商事社長 志田健司
富士屋商事社長 志田健司

 確か2本の竹を船の上からさして、円状の網を海水に放り投げてしばらく待ち、網の行き止まりの方から引き上げて船にあげて網を開けます。すると、あみじゃこに混じり色々な魚が。カレイやアカエイ、ハゼ、アジ、セイゴなどです。

 私が興奮して手を伸ばしたら、漁師のおじさんが一喝。「そこの尻尾のある魚には毒がある、触るな」と。アカエイでした。怖い物知らず、そんな経験をして少年は育っていく。良い時代で、良い経験をした事が、今考えると人間の肥やしになるんだなと思います。

 その日の夕方、漁から帰った漁師が「今日は隅田川の花火があるんだ、頼まれているから坊主も来るか?」と。当然私は頭を縦に振り、夕方5時頃、浦安を出港したことを覚えています。航路は、妙見島北側から葛西よりに新川口橋を抜けて新川に入り西へ進みます。所々に橋があり、橋桁ギリギリで西へ。荒川に出て夕暮れになり、更に急な川の広がりで、子供ながら恐怖を感じた事を覚えています。

 荒川を横切り隅田川に出て、待ち合わせの桟橋でお客の男女10人位を乗せて(芸者さんかな?)隅田川の花火を見に行った事を経験の中に覚えています。

 帰りは行った川を戻っただけですが、暗い中、強力な船の明かりを点けながら進む船の先に立ち、明かりに誘われてマルタと言う魚が船にいっぱい寄ってきたのを子供ながらに覚えています。良い時代でした。

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