2023年になり、COVID-19感染は収まり5月8日には指定感染症2類から5類に格下げされた。その結果、行動制限はなくなり、スポーツでの声出し応援も解禁され、社会に活気が戻ってきている。飲食店や大きな集会でもマスク着用は個人の裁量に任され義務はなくなった。
同じ頃、WHOのテロス事務局長やアメリカCDCも相次いで事態宣言を解除した。しかしWHOは、COVIDの脅威がなくなったわけではないとし、これまでに構築したシステムを解体したり、COVIDは心配ないというメッセージを出すべきではないと、強調している。WHOは、これまでに700万人近い死者を把握しているが、実際はその3倍だと、推測し感染防御が重要であることを強調している。
日本の実数は従来の方針をやめたため正確な感染者数が不明だが、当院の感染者は昨年12月の8波の最中発熱外来来院者144人中112人がCOVID-19感染者だった。そして1月48人、2月16人、3月9人、と激減したが、4月は19人、5月は59人と急増。加えてインフルエンザ感染者も来院者の1~2割を占め、依然、感染症と共存している状態だ。
オミクロン株は咽頭にとどまり肺に感染が及ばないため重症化しない。だが、高齢者や持病のある患者は、容易に重症化して死に至る。日本では実数把握をやめたので詳しい感染状況は不明だが、種々のデータから、感染者は第8波以降、一日1万人、致死率は0・11%と思われる。
現在、世界で流行している変異株は、オミクロンBA.2由来のXBB.1.5とXBB.1.16で、アメリカはほとんどXBB.1.5だが、インドでは、XBB.1.16がXBB.1.5に取って代わった。日本にもXBB.1.16が入ってきたので、今後少し感染が増える可能性もあるがXBB.1.16も入院、死亡率などは低いので、デルタ株のような状況にはならないと考える。しかし弱者を守るため、マスク装着は続けよう。