「和食」が、日本の伝統的な食文化として、ユネスコの無形文化遺産に登録されたのは2013年。その健康効果が注目されているが、内臓脂肪蓄積に与える影響やメカニズムは不明だった。京都医療センター予防医学研究室の坂根直樹氏と花王株式会社生物科学研究所の高瀬秀人氏らの研究グループは「和食」が、内臓脂肪、およびグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)分泌に及ぼす効果を調査し、その結果を9月2日号のNutrition journalに報告した。
それは、1万1438人の内臓脂肪と食習慣、さらに579人の3日間の食事記録と食習慣を調査し、それらのデータを詳細に解析した結果、「タンパク質/脂肪比≒1.0」「食物繊維/炭水化物比≧0.063」「ω-3脂肪酸/脂肪比≧0.054」これら3つの条件が、内臓脂肪蓄積の予防に関連連することを明らかにした。この3つの比を取り入れた日本食を「スマート和食」と呼び、スマート和食と現代食が内臓脂肪蓄積に与える影響について、21人の肥満の男性(平均年齢: 41.0±9・0歳、平均BMI:25.2±2・0 kg /m2)で調査した。スマート和食の2週間介入では、内臓脂肪だけでなく、LDL-コレステロール、中性脂肪、HbA1c値が有意に減少。この結果から、スマート和食はGIP分泌の抑制を介して、肥満男性の内臓脂肪を改善することが示された。
坂根氏はコメントで、「ポッコリお腹を何とかしたい方は、食事は脂質を減らしてタンパク質を増やす、糖質を摂る前に野菜・きのこ・海藻類などの食物繊維をたっぷり摂る、脂質を摂るならオメガ3の3ポイントが大事」とした。スマート和食は、毎食ご飯を中心に主菜1皿と副菜2皿。主菜は魚と大豆製品は1日1回ずつ。肉は低脂肪。副菜は旬の野菜、きのこ、海藻、まめなどまんべんなく。油脂使用の料理は1食1皿。朝食は8時まで、夕食も午後8時までが望ましい、という。