国は医療費抑制に舵を切り、先発品より3割から7割安い後発薬品(ジェネリック)の普及を推進している。昨年10月からは先発品を希望する患者には「特別料金」を課す制度もスタートさせている。

先発品を投薬している筆者にも厚生省から、後発品を使うようにとの警告書が送られている。そんな中、小林製薬の「紅麹」による死亡事故があったのは記憶に新しい。この「紅麹」は医薬品ではなく、サプリメント(健康補助食品)の範疇にあるものであるが、サプリメントを含め医薬品に対する安全確保が国民から強く求められている。
特に、後発薬品に関しては従来から品質不正が大きな問題となり、21社が業務停止処分を受けている。厚生省は昨年、全後発品の自主調査を後発医薬品メーカーに要請した。その結果、40%に及ぶ実に3796の品目に不正が発覚した。
後発薬最大手の沢井製薬は、胃潰瘍治療薬で約8年にわたり不正を行っていたと発表した。2021年当時、ジェネリック最大手だった日医工が事実上破綻したことから、沢井製薬も経営破綻が危惧されている。患者が直接体内に取り込む薬は、命にもかかわるため、もっとも安全性が担保されなければならない。
ジェネリックはよく『先発医薬品と同じ成分で安価』と説明されるが、厳密には同じではない、腰痛、ひざ痛を持病に持つ筆者の経験からも、効果は先発品には遠く及ばず、ジェネリックは効果が少ない。
日本の医療費高騰の要因は、先発薬の使用にあるのではない。不要な胃瘻による栄養管理や人工呼吸管理が大きな要因である。発熱外来を積極的に行っている当院でも、解熱、鎮痛剤や風邪薬の確保は本当に苦労しているのである。