「刑務所慰問はライフワーク」 縁を大切にしたい
法相から感謝状
「受刑者のみなさんが楽しみに待っている」という声を励みに、女性マネジャーと “二人三脚” で刑務所慰問を続けたことが認められ、4月27日、上川陽子法相から感謝状を贈られた。
「まさか、演歌歌手の私が感謝状をいただけるとは…」
赤の衣装で浦安市北栄のファミレスに現れた琴さんは、刑務所慰問のきっかけなどを話し始めた。今年が歌手生活35周年。民謡の宝庫、青森・南部町出身。3人姉妹の末っ子で、母親と姉妹全員が美容師という環境で育った。
昭和54年、八戸市で開かれた地元民放主催のカラオケ大会でチャンピオンになり、ヨーロッパ旅行を楽しんだ。そこへ舞い込んだのが「歌手デビュー」の誘いだった。
翌年11月、盛岡市でのカラオケ大会で運命が変わった。審査員で来ていた演歌作曲家の大御所・船村徹氏と知り合ったのだ。
それからまもなく、船村氏のテレビ番組が八戸市の蕪島を舞台に収録。そこで「八戸小唄」を歌って “全国デビュー”。翌日、宇都宮市での船村氏のディナーショーに「ついておいで」と同行して “弟子” になり、これまでに8曲の歌を提供してもらっている。
刑務所慰問も船村氏と訪れた「栃木」が最初。これまでに北は網走から南は鹿児島・沖縄まで全国77カ所中、複数回訪れたのを含め51カ所を慰問。
「刑務所は時間が厳しいので、遠隔地は先乗り(前泊)して朝7時半に入り、音合わせ。9時半から1時間歌わせてもらいます」
千人規模の施設で歌うのは、劇場などのライブとは「違う重みがあります」。25周年で師匠から贈られた笠松(岐阜)刑務所が舞台の「のぞみ(希望)」を中心に歌い、受刑者のみならず東北、関東、12年前に埼玉から移り住んだ浦安でも根強いファンに支えられている。
5月の東京・椿山荘に続いて、7月22日には故郷・八戸で「35周年記念ディナーショー」を開く。
「刑務所慰問はライフワーク。縁を大事に出会った人には手書きのお礼状を出すのが趣味」という。
船村氏は「刑務所慰問はもちろん “歌は心でうたうもの” の気持ちを忘れず、歌い続けてください」とエールを贈る。