過去の楽しい記憶、明るい未来の想像など、現在の状態と異なる、明るく楽しい状態を考える「マインドワンダリング」が、鬱病予防効果があるのか、その意義が注目されている。
その逆の、常に悲観的にものを考える「ネガテイブ思考」は、うつ病の発症や持続に関係するのではないかと考えられていた。
オランダ・フローニンゲン大学のMarlijn E.Besten氏らは、認知科学および実験臨床心理学の手法を組み合わせたマインドワンダリングの鬱病予防効果、および反復的なネガティブ思考のうつ病増悪に対する影響を調査した。
対象は、ネガティブ思考の強い群(以下、ネガテイブ群)42例、弱い群(以下ポジテイブ群)40例だ。それぞれの群に、ネガテイブな事ばかり考える「ストレス誘発試験」と明るく楽しい状態を空想する「ポジテイブ空想試験」を施行した。
主な結果は以下の通りだ。ストレス誘発試験後は、ネガティブ群ではさらに「鬱状態」が増悪したが、ポジティブ群では増悪しなかった。ポジティブ空想試験後は、ネガテイブ群ではポジティブ思考が増加して「鬱状態」が改善した。ポジティブ群では、ポジティブ空想試験前後で大きな差はなかった。
この試験の結果から、悲観的にものを考える人は、「鬱病」になりやすく、またさらに「鬱状」が増悪することが明らかになった。それに対して、過去の楽しい出来事を考えたり、明るい未来を想像したりする「明るいポジティブ空想」は、鬱病の発症予防や、鬱状態を改善できることが明らかになった。
皆で楽しいことを空想し、悲観的に考えるのをやめよう。慎重に考えて行動するのと、悲観的にものを考えるのとは違うことを銘記すべきである