医療・健康

Dr.竜の「診察ノー卜」特別版:変異型感染が大爆発 人との接触を9割削減しよう

 猛威を振るっている新型コロナウイルスは、より感染力の強い変異株が中心になりつつある。死者は1万人を超え、若い人たちの感染率が増大、脅威となって来た。コラム「Dr.竜の『診察ノート』」を連載している、浦安ふじみクリニック院長の竜崇生氏が、浦安市民にこの新型コロナウイルス変異株への感染防止策を訴えた。 (3、4月号のコラムは2面に再掲載)

竜 崇正(りゅう・むねまさ)
浦安ふじみクリニック院長

 国内は現在、イギリス型N501Y変異株による第4波の感染大爆発となっている。

 4月25日に東京、大阪、兵庫、京都の4都府県で緊急事態が宣言された。4月24日の全国の感染者は5600人、大阪は1097人、東京は876人。東京都保健局によると、N501Y変異株は感染力が70%増加し、致死率も64%増加している。特徴的なのは若年者にも感染が及んでいること。希望はファイザー社のワクチンが有効なことだ。

 大阪では変異ウイルスの検査率は20%以下だが、倍加時間は18.6日。神戸市は感染者の60%に変異ウイルスの検査を行ない、感染者の倍加時間は14.3日だ。東京では変異ウイルスの検査率は公表されていないが、倍加時間は11.3日と、かなり短くなっている。

 全国に感染爆発が及べば、倍加時間はさらに短くなることが予想される。全国感染者5600人が1か月後には4万5000人、2か月後には36万人となり、死者は6800人になる計算だ。変異型は20代と30代の感染率が高く、重症化するので、死者の半数は若年者という事態も予想される。

 政府は、飲食店主体で感染が広がっているとして、対策を立てた。しかし、時短営業要請では感染爆発は抑えられなかった。今回は飲食店の時短に加え、酒類提供の停止、大型商業施設の休業など、かなり人流を抑える対策をとっている。

 昨年4月の緊急事態下では、北海道大学の西浦博教授の試算により、他人との接触を80%減らすように、との提言を多くの国民が守ったため、感染制御ができた。今回、変異ウイルスの特徴を考えれば、人流を80%削減しても制御できるかは疑問だ。唯一の防御策は全く人と接触しないこと。そしてワクチンを打つことである。

 全国民にワクチンを打ち終わるのは9月以降になる。だが、アメリカやヨーロッパで行った完全ロックダウン以外に感染を防御することはできないのではないかと思う。ロックダウンなしで感染を制御した国や地域はないからだ。

 浦安は緊急事態宣言の対象外地域だが、熊谷俊人千葉県知事は、浦安市を「蔓延防止等重点処置」の適用範囲に含めた。浦安市民は覚悟をもって、90%の他人との接触削減に努めることが肝要だ。

 国民がワクチンを打ち終われば、明るい未来が待っている。それまでは命を大事にしよう。感染防御なくして、経済の活性化はあり得ない。

プロフィール

 1943年、東京都生まれ。千葉大学医学部卒。国立がんセンター東病院手術部長、千葉県立佐原病院長、千葉県がんセンター長などを歴任。2011年から浦安ふじみクリニック院長。

【3月号・4月号コラムへ

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