新型コロナウイルス感染を恐れての「診療回避」が増え、がんや糖尿病、高血圧などの生活習慣病での死亡が大幅に増加する危険性が指摘されている。アメリカやイギリスでもがん患者の診療回避が大きな問題となっている。米国がん協会がん行動ネットワーク(ACSCAN)が実施した調査では、回答者1219人の半数が、受けていた治療の変更、中断をしている。イギリスでは、マクミランがんサポートの調査によると、がん患者のほぼ半数(45%)が、がん治療の延期や中止を経験している。
イギリスの CancerResearch UK は、コロナ感染を危惧して、がんの検査や治療を受けなかった人が240万人と見積もっている。そして、数年後にはがんが爆発的な主要死因となる、と警告した。日本でもがん検診者が大幅に減少し、2019年を100とすると、2020年は胃がん、肺がん、乳がん、子宮がんの検診は40%以上も減少したと報告された。
問題はがんだけではなく、歯科や耳鼻咽喉科で55%以上、内科、小児科で42%も患者が減ったと報告されている。しかし、小児科では喘息の悪化が目立っている。成人では高血圧や糖尿病で必要な服薬しなくても、すぐに症状が現れたり、死に至る訳ではない。一見何事もないのである。だが、「診療回避」で、病気は静かに後戻りできない深刻な病状へ進行している。
また、新型コロナ感染は、血管を傷つけて重症化するので、「診療回避」の糖尿病や高血圧患者は、コロナに感染すると重症化しやすい。年代別には70代では「診療回避」が少ないが、それ以下の年代では、コロナに感染しにくいとされる20代、30代では半数に上るとされる。疾患別には男女とも高血圧が多い。20代の男性で心臓病、30代男性は糖尿病が多い。若くして服薬している方は、服薬が必須な病気であり、服薬中断で死に至ったり、重篤な合併症を引き起こす可能性が高い。病院や診療所では発熱者は別の診察経路に分かれており、診察で感染する可能性はないのである。