浦安市在住の合唱指揮者・柳嶋耕太さん(34)は、テレビ会議システム「ZOOM」を使って、自宅に居ながら参加できる合唱オンラインレッスンを行っている。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、全員が1か所に集まって活動することが難しくなってきた。「合唱は人が集まって行うものなので、『3密(密集・密閉・密接)』に該当してしまう。3月下旬には他県の合唱団でクラスター(集団感染)が発生したこともあり、続けられる方法はないか模索していたところ、オンラインレッスンにたどり着いた」と柳嶋さん。
何度かテストを行い、4月6日から本格的にレッスンを開始した。募集した受講生30人は、2日ほどで定員に達した。「受講生の約半分は僕が指導している合唱団の団員ですが、あとの半分は新規。東北地方やアメリカなど海外からの参加者もいます」と柳嶋さん。遠隔地の人と合唱でつながることができるのも「オンラインならでは」とも語る。
受講生からは「自宅にいながら、同じ曲を一緒に考え、歌えるのは楽しい」「普段は前を見て歌っているが、オンラインは画面に向かって歌うので、ほかの受講生の表情が見られるので新鮮だ」との意見が寄せられ好評だ。
ただ、オンラインレッスンにも難点がある。音にズレが出ることだ。そのため、受講生全員の音声をオンにしてしまうと、レッスンに支障が出ることも。そのため、音声のオンオフを調整して指導している。
柳嶋さんは、東京都東村山市出身。早稲田大学に進学し、混声合唱団のサークルで指揮者として活動した。その後、合唱専門指揮者を目指し、2011年に渡独。マンハイム音楽表現芸術大学指揮科を経て、ザール音楽大学指揮科を卒業。2015年には、ドイツ若手指揮者の登竜門「ドイツ音楽評議会」指揮フォーラム研究員に選ばれ、同時に「Bach vocal」章を授与された。以来、ドイツ国内でプロ・セミプロ合唱団の指導で活躍し、2017年に帰国。妻の実家がある浦安市に居を構えた。
現在は、主に東京都内や神奈川県内の合唱団を指導しているが、浦安市の合唱団も「ぜひ指導してみたい」と意欲的だ。新型コロナウイルスの終息が見えない中、オンラインレッスンに活路を見い出し、合唱を通じて日本のみならず、世界各国とつながっていければと熱く語った。