こんにちは。弁護士の矢野京介です。今回は、不貞慰謝料請求で退職を要求された場合についてお話しいたします。
不倫がバレてしまった場合、「不倫の代償」として考えられるのが慰謝料請求です。不倫は、法律的にも「不法行為」とされており、被害者の方が不倫の証拠を押さえている場合は、加害者の方は慰謝料の請求から逃れることは難しく、実際にお金を払わなくてはならなくなるケースが多いです。
また、不倫をした加害者に対し、いわゆる社会的制裁を要求する被害者も少なくありません。特に社内不倫の場合には、加害者に会社を辞めるよう要求したり、加害者の会社に対して解雇することを要求したりすることもあります。しかし、たとえ被害者の方から会社を辞めるよう要求されても、法的に退職を強制することはできませんので、それを聞き入れる必要はありません。
同様に、社内に不倫の事実が伝わり、会社が退職するよう、働きかけてくることがあったとしても、不倫をしたという事実は、プライベートな問題です。会社とは関係ありませんので、会社が不倫を理由とした解雇をすることはできません。
冒頭で、「慰謝料請求の支払いを逃れることは難しい」と申しましたが、交際していても、性的な関係がない限り慰謝料を支払う必要はありません。
また、不倫相手が既婚者であることを知らなかった場合には、状況次第では慰謝料を支払う必要がない場合もあります。被害者の方が不倫の事実を知ってから3年以上経過している場合も、慰謝料請求権についての消滅時効が成立している可能性があります。
不貞慰謝料請求についてお悩みの方は、一度専門家に相談されることをお勧めいたします。