紙巻きたばこ喫煙により、喫煙者だけでなく、喫煙しない人までもが副煙流で肺がんや肺気腫などになることは、いまや常識となっている。紙巻きたばこに換わって、無害のような宣伝効果で、電子タバコや加熱式タバコが広く日本でも普及している。
電子タバコは香りのある液体を加熱し、蒸気化して吸引させる道具で、吸引することをVape という。用いられる液体グリセリンを中心に種々の香りや風味成分が添加され、ニコチンを混ぜることもできる。日本では薬事法からニコチンが含まれたものは規制され、加熱式タバコと呼称されている。加熱式タバコでは燃やさないので副流煙が出ないと宣伝されている。
2019年9月11日、アメリカのトランプ大統領は、味や香り付きの電子たばこの販売を禁止する方針を発表した。米国では、電子たばこによる肺疾患や死亡例が多数報 告されている。33の州で6人が死亡し、450人が肺疾患を発症し、そのほとんどは平均年齢19歳の若者だ。吸引されているのは食品添加物に用いられる味や香りとされるが、どのような液体が、化学変化しているのか詳細な検討が必要である。
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine 8月7日オンライン版によると、非喫煙者と喫煙者、電子タバコ使用者の肺から採取した胸水検査で、喫煙者と電子タバコ使用者のいずれにも、プロテアーゼ酵素の濃度上昇が認められた。プロテアーゼ酵素が過剰になると、肺胞が損傷消失して肺気腫になると報告された。
2019年6月20日の日本動脈硬化学会のプレスセミナーで、紙巻きたばことの比較で、加熱式タバコにもホルムアルデヒド74%、アセトアルデヒド22%、ニコチン 84%と低くなっているが、肺がんや肺気腫を引きおこすには十分と報告している。
これらの結果から、電子タバコや加熱式タバコも安全ではなく、日本でも早急な対策が取られるべきだ。
(文責 竜崇正)