緊急事態宣言が解除され、社会が動き始めている中、新型コロナウイルス(COVID-19)感染は東京都を中心に再び広がり、7月2日は100人を超えた。6月28日まで1週間の10万人当たりの感染者は東京で2.58、埼玉で1.09であり、政府の緊急事態の目安0.5を上回り、大阪の0.11に比して多い。
原因はホストクラブやキャバクラなどの接待を伴う夜の街からの感染とされる。クラスター化した店も営業停止が必要であろう。COVID-19感染は、症状のない一見健康な方からの飛沫感染が主体である。飛沫を浴びないように3密を避けることが基本である。ウイルスは石鹸で死滅するので手洗いが基本である。
COVID-19に感染した慢性肺疾患患者(COPD、喘息)に、重症化する患者が少ないことが謎となっていた。肺胞の膨張に関与する肺サーファクタントが十分産生されない28週前に生まれた小児の60%は、新生児呼吸窮迫症候群を来たし、肺サーファクタントを補充しないと呼吸不全から死に至ることが知られている。
その肺サーファクタントの研究をしてきた千葉県がんセンター放射線診断部高野部長は、COVID-19が肺細胞のACE2に付着することで、肺サーファクタントが枯渇して無気肺となり、患者が死に至るという仮説を立てた。そして、去痰剤として一般に汎用されているアンブロキソール(ムコソルバン)は肺サーファクタントを増やす働きがあるので、COVID-19に有効ではないかと推察した。
慢性肺疾患患者にはムコソルバンが多く投与されているのが、重症化する患者が少ない理由と結論し、査読のある論文で採用された。論文は以下の通りで8月12日まで無料公開されている。
Pulmonary surfactant itself must be a strong defender against SARSCoV-2 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0306987720310732