医療・健康

Dr.竜の「診察ノー卜」第92話:生活習慣の改善で認知症は予防できる

 生活習慣が認知症発症に及ぼす影響に関する論文が、アメリカ国立衛生研究所(NIH)から発表された。米国で行われている女性の健康調査(Women’s Health Study)の1992~1994年の研究参加登録者1万3720人が対象で、平均年齢は54.2±6.6歳だった。

竜 崇正(りゅう・むねまさ) 浦安ふじみクリニック院長 =浦安市富士見 2-18-9=

 評価項目は米国心臓協会が、心臓の健康維持のために提唱した「Life’s Simple7」と呼ばれる次の7項目だ。(1)より多く体を動かす (2)健康的な食事 (3)適正体重の維持 (4)タバコを吸わない (5)血圧のコントロール (6)コレステロールのコントロール (7)糖値を良好に保つ。

 2011~2018年まで約20年間の追跡で、1771人(12.9%)が認知症を発症。年齢や教育歴などの認知症発症リスクに影響を及ぼし得る因子を調整した解析では、Life’s Simple7が高いほど認知症発症者が少なかった。つまりLife’s Simple7のスコアが1点高いと、認知症発症が6%少ないという関連だった。NIHのRist氏は高血圧は無症候の段階の認知症リスク上昇と関連があり、糖尿病と高コレステロール血症も認知症のリスクを高める可能性がある、とした。

 心臓の健康に良いとされる『Life’s Simple7』の7項目が、どのようなメカニズムで認知症のリスクを低下させるのかは完全には解明されていないが、全てが相互連携して機能しているのではないかと、推測。そして「遺伝的背景などの変更できない認知症リスク因子もあるが、修正できるリスク因子は修正することが大切だ」としている。特に禁煙は必須で、「さらに1日30分の運動や血圧コントロールによって、認知症の発症リスクを抑制できる」している。

 一方、この研究の限界点としては、喫煙者が禁煙した場合などの生活習慣の修正で、認知症のリスクがどのように変化したかを評価できていない点だ。また、認知症リスクをさらに押し下げる可能性があるのは、生涯を通じての教育、良好な睡眠、社会活動への参加などとしている。

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