動脈硬化は、高血圧、脂質異常症、糖尿病などによってダメージを受けた血管壁に、悪玉コレステロール(LDL)が入り込むことで進行する。血管壁に入り込んだLDLは、「酸化」されることで異物と認識され、体内の白血球のターゲットとなり、プラークの形成をもたらし、動脈硬化を誘発進行させる。悪玉コレステロールの中でも小型で密度の高い悪玉コレステロール(small dence LDL)が酸化されやすく、動脈硬化を誘発進行させる「超悪玉コレステロールとして近年注目を集めている。
血清コレステロール値が正常にもかかわらず、超悪玉コレステロールが動脈硬化を引き起こした例も報告されるようになった。特に心臓の冠動脈が硬化、狭窄をきたして心筋梗塞を起こしやすくなるなど、超悪玉コレステロールと心血管疾患との関連を裏付ける研究結果も報告されている。
狭窄をきたした心臓の冠動脈を経皮的に広げるインターベンション治療後の冠動脈再狭窄予防に関して、スタチン単独とスタチンとエゼチミブ(ゼチーア)併用の比較試験が2017年に行われ、動脈内皮機能障害は、エゼチミブのコレステロール吸収阻害作用によって軽減されることが示される論文が発表された。
しかし超悪玉コレステロールについては様々な研究が行われているが、まだ解明できていない点も多く、現行のガイドラインには記載されていない。超悪玉コレステロールを選択的にさげる薬はまだない。だが、超悪玉コレステロールは身近な食品中にも含まれている。
従って、動脈硬化を防ぐためには、超悪玉コレステロールが多く含まれる食品を食べないようにすべきである。すなわち、焼き鳥の皮の部分、インスタントラーメンの麺、マーガリンやマヨネーズの変色した部分、二度揚げされた揚げ物、漬け込み保存された魚卵、加工肉食品、ビーフジャーキーなどUV照射を受けた食品などに注意すべきである。 (文責 竜崇正)