良い菊をつくるには夏が勝負
11月の40周年菊花展 大車輪の毎日
夏が菊づくりの一番大切なシーズンなのをご存じだろうか―。11月1日~10日、浦安市郷土博物館前のゲートボール場で開く40周年菊花展に向け、大車輪の毎日なのが「浦安菊好会」の室洋二会長(74)。
取材に訪れたのは台風11号が四国に上陸する直前の7月15日。堀江1丁目の圃場(165m2)で会員仲間と水遣りをしながら、菊づくりにかける情熱を話してくれた。
「(多少の)お金にヒマ(時間)、さらに(栽培する)土地の三拍子に加えて花好きであることが欠かせない条件」
圃場は会員27人のうち、マンション住まいの人たちのために、前会長・山田八百吉さんが提供。鉄パイプを組み、屋根を波板で覆った栽培棚には150鉢の大小さまざまな菊が3カ月後の “出番” を待っていた。
大菊(厚物・管物)▽ザル菊▽祝い菊▽ダルマ▽福助▽盆栽▽江戸菊▽懸崖▽大作り…。
「例えば福助は7月20日に挿し芽、江戸菊は4月はじめに挿し芽し11月に咲く、というように展示会が終わるとすぐ根を切り、苗を育て翌年の栽培に入るわけです」
圃場では腐葉土や赤玉、もみがらを焼いたものなどを半年寝かせた手づくり肥料を2週間に1回、病気防止で消毒が1週間に1回のほか、雨水を溜めたものを使って毎日、水遣り…。いい菊づくりのためには、なによりも継続が大切なようだ。
大分県宇佐市出身で、矢車草や百日草など植物好きだった。映写機関連会社に勤め、転勤が多かったが、平成元年、浦安市に引っ越し63歳でリタイア。市民大学や東京農大で園芸の基礎を2年間学んだあと「7年前に菊花展を見に行って会に誘い込まれた」と笑う。
園芸福祉士でもある室さんは「菊栽培は奥が深く、何年やってもしろうと」と謙遜。平均年齢75歳の会員たちは自宅などで、挿し芽から毎日の水遣り、消毒に肥料遣り…で「旅行は一泊二日しかできない」と会員たちの気持ちを代弁。また、花を通じて幸せ、健康になれる “園芸福祉” の効用も語った。
菊栽培だけでなく、市内の小学校で1年生600人に手づくり凧の作り方を教える「工作ボランティア」などでも活動している。
子供3人は独立、6人の孫と会うのを楽しみにしている。妻と2人暮らし。