令和4年(2022年)の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳である。2000年の平均寿命は男性77・72歳、女性は84・6歳なので20年余りで3-4年延びたことになる。寝たきりにならず、元気で過ごせる健康寿命と平均寿命との差は、男性8.8年、女性12.2年なので、今後は健康寿命を延ばすことが大事になる。
同じ年齢でも、老化が進むと健康寿命が短くなるので、老化をいかに防ぐかが重要だ。この老化と、種々の生活習慣との関係についての研究論文が本年3月4日のTheJournals of Gerontology:Series Aの電子版に掲載された。欧州の28コホート、3万4710人の解析だ。
それによると、老化を促進する因子は1位:喫煙、2位:過度の飲酒、3位:腹囲増加、4位:昼寝、5位:体脂肪率増加、6位:糖尿病、中性脂肪値上昇、小児期の肥満などが続いている。老化を遅らせる因子として1位:教育年数が長い、2位:収入が多いーが上がっている。
著者らは、本研究により、老化の危険因子と老化の速度に関する定量的なエビデンスが得られ、肥満、喫煙、低学歴が老化へ大きな影響を及ぼすと解説。この結果は、老化を遅らせ、健康長寿を促進するために役立つだろう、とまとめた。運動の効果に関しては触れられていないが、肥満、体脂肪率増加などが老化促進因子となっているので、運動による肥満予防効果は大いに、若返りをもたらすものと期待される。
本年3月の京都大学での研究結果では週1-2回の8千歩程度の運動は、心臓機能を8%向上させると、運動の効果を報告している。高齢になっても収入を得てゆとりある生活をする事や、好奇心をもって種々調べたり、運動や散歩、旅行したりすることも、老化を遅らせることに役立つだろう。
健康長寿を阻む具体的疾患は、慢性閉塞性呼吸疾患、心不全、脳梗塞、大腿骨折や骨盤骨折などでの寝たきり、認知症の進行、なども挙げられる。いつまでも好奇心をもって笑顔で生活することが大事だという論文だ。