こんにちは。弁護士の矢野京介です。今回は、「貞操権」についてお話いたします。交際相手に独身だと伝えられ、お付き合いをしていたが、実は既婚者だった場合、「貞操権」の侵害を理由として、相手に慰謝料請求できる可能性があります。
「貞操権」とは、性的関係を結ぶかどうかを自分自身で決定する権利です。「既婚者と知っていたなら性交渉に応じなかった。」「だまされて性行為をさせられた。」ということができ、よって貞操権の侵害が成立します。
ただし、交際をしていてもプラトニックな関係だったり、結婚の話は特にされたことがなく、勝手に未婚と思い込んでいた場合や、自分から積極的にアプローチして交際を始めた場合などは慰謝料請求できない可能性が高いでしょう。
また、最初は独身と偽られて交際を開始したものの、後に交際相手が既婚者とわかっても別れずに不倫関係を続けていると、相手の妻から慰謝料請求をされてしまう可能性が高くなります。既婚者であると知った時点から「故意」に不倫したことになるからです。
交際相手に騙されていたことが分かり、貞操権侵害で慰謝料請求する場合には「証拠」が必要です。相手が「結婚したい」等の発言をしているラインやメールのやり取り、婚活パーティに参加したときの資料等があるといいかもしれません。
被害者の方にとっては貞操権の侵害であったとしても、交際相手の妻からは「不倫」と捉えられ、交際相手の妻から不貞慰謝料請求をされることもあります。貞操権侵害の慰謝料請求については慎重に対応する必要があります。不貞慰謝料請求や貞操権の問題でお悩みの方は、専門家に相談されることをお勧めします。