こんにちは。弁護士の矢野京介です。今回は「離婚協議書と公正証書」についてお話しします。
夫婦が離婚となった場合、話し合いができるようであれば、まずは話し合いから始めるのが基本です。日本には「協議離婚」の制度があり、夫婦の双方が離婚に合意している場合、それだけで離婚ができるからです。
協議離婚の際、決めなくてはならないことは、未成年の子がいる場合の親権者だけであり、それ以外のことは何も決めなくても離婚ができます。しかし、協議離婚であっても、財産分与や養育費、慰謝料、年金分割等についてきちんと決め、それを書面に残すことが、離婚後のトラブルを避けるためにとても大切です。
そこで、作成するものが「離婚協議書」になります。では、離婚協議書と公正証書は何が違うのでしょうか。
離婚協議書が、離婚時に取り決めておくべき様々な事項を書き残しておくための私文書のようなものであるのに対し、公正証書とは、離婚協議書の内容に法的効力を持たせた公文書のことをいいます。
公証人と呼ばれる専門家が作成した公文書であるため、例えば相手方が養育費や慰謝料の支払いを怠った場合には、公正証書を所持していることで、養育費等を徴収するために給料や財産の差し押さえをすることができます。
ですから、離婚の際、養育費などのように長期に亘る金銭のやり取りの取り決めがあるような場合には、公正証書を作成することが望ましいでしょう。
離婚協議書や公正証書の作成をお考えの方は、専門家に相談されることをお勧めいたします。