こんにちは。弁護士の矢野京介です。今回のテーマは「会社経営者の妻の離婚」です。夫が会社経営者の場合、一般的なサラリーマン家庭と比べて注意すべき点が多くあります。妻が離婚で損をしないためにはどうすればよいのか、などについてご説明いたします。
一般的なサラリーマン夫婦が離婚する場合の財産分与は、原則2分の1ずつとされています。しかし会社経営者のように「個人の努力や才能によって多額の資産を形成した」などの事由がある場合には、経営者側がより多くの資産を受け取ることができます。つまり経営者の夫から上記のような主張をされると、妻の割合が抑えられてしまう可能性があります。
また、財産分与の対象となる財産は夫婦の個人財産のみですが、経営者が自己の財産を会社名義にして財産分与の対象から除外することがあるかもしれません。そのようなことにならないよう、会社経営者の妻は、夫が「会社の資産だ」と主張する資産についても精査する必要があります。
退職金についても、「経営者には退職金はない。」と考えている方もいますが、経営者であっても会社から退職慰労金の支給を受けられるケースがあります。また、多くの会社では、経営者への退職金支払い準備として長期平準定期保険などの生命保険や小規模企業共済などに加入していることがあります。これらについても請求しましょう。
他にも、妻が会社の役員や従業員になっている場合は、問題が複雑になってきます。会社経営者の方との離婚でお悩みの方は、一度専門家に相談されることをお勧めいたします。