浦安市の3地区・471戸で実施中の格子状地盤改良工法による液状化対策工事が岐路を迎えている。石井一郎副市長は3月26日、記者会見し、「舞浜3丁目の住民意向調査から4地区で工事継続は困難、中止せざるを得ないと判断した」ことを明らかにした。ただ、住民側が自治会として意見集約したいなどとしているため、「できるだけ早く結論を出したい」方向だ。
市では復興交付金を使った同工事を平成32年3月までに完了するには今年10月に着工しないと無理、としており、住民意向と時間との競争になってきている。
30年度の当初予算案などを審議した第1回定例会でも、会派代表質問や一般質問で取り上げられた。
一昨年12月から始まった舞浜3丁目の一部戸建て住宅地(393戸)の地下から想定外のドレーン材(織布製水抜き材)が工事用機械に巻きつき、地中壁に十分な強度が出ないなど支障が出たため工事は中断したまま。
このため市は1月に住民に現状を説明し、セメントを圧送する車載プラントを設置して工事を続けるかなどの意向調査を宅地所有者ら912人から実施(3月19日で約8割が回答)。これを受けて3月24日に再度、住民に説明会を開いた。
その結果、同プラントでの工事継続希望は約78%で、当初の事業決定の約95%に比べ17ポイント下回った。このプラントは対象区域内の道路に1路線当たり3~4か月設置し、延べ28か月稼動。住民に騒音や振動、交通規制など負担がかかるうえ、24路線に配置が必要。
このため市は中止が正式に決まれば、舞浜3丁目工事の76宅地分の納付済み分担金90万円の返金や液状化対策工事条例の変更を検討している。これまでの同地区の総事業費は6億7千万円。
◇
第1回定例会では辻田明議員(自民・無所属ク)が代表質問で舞浜3丁目、東野3丁目(33戸)などの現状を質した。
市は弁天2丁目の一部45戸中12人が2月中旬、工事の不同意を市に通知していることも明らかにした。市は東野3丁目の工事は30年度中に完了の見通しとしている。