県立浦安高校(若菜秀彦校長)が、生徒の学力向上に向けた2つの新しい取り組みを始めた。1つは「探究ゼミ〜プロジェクトスタディ〜」。もう1つは「放課後英語スクール」の開催。どちらも校外の教育専門家を招いた年間授業の導入。「教える」から「自ら学ぶ」へ、変革期を迎えている教育界に一石を投じるか、注目される。
浦安高校は1学年各6学級、生徒数713人。地域と連携した教育を推進する県内のコミュニティ・スクールに指定されている県立高校4校の1つ。
今回の新しい取り組みは1年生240人全員が参加し、5月から来年1月まで年間9回、木曜日の午後、「総合的な学習の時間」(110分)を使って開かれる。
「探究ゼミ」は、県内の私立大学8校の先生と2人の専門家が講師となり、10講座のゼミナールを開設する。
例えばゼミ番号1は、千葉商科大の先生が講師になった講座名「店頭プロモーション企画」。
テーマは、「経営者となって商品の流通を探る」(商学)。商品を店頭販売するのではなく、消費者が商品を手にするまで、経営者は何をするのか、店舗に並べられた商品に込められた社長の思いを探る。
ゼミ番号6は、千葉工業大の先生。講座名は「アニメツーリズムと千葉」(日本文化)。
私たちが暮らす千葉県が日本で生まれた小説、ライトノベルやアニメの中でどう描かれているかを調べ、聖地巡礼とも呼ばれるアニメツーリズムを考察する。
「教える」から「学ぶ」へ教育界に一石を投じるか
ゼミはほかにも「身近なまちのルールを考えよう」(法律学)、「身体・遊びの探求」(舞踊学)、「一人ひとりを大切にする保育」(幼児教育)など。
生徒は、あらかじめ10講座の中から4講座を選択、5月17日に開かれたオープニングガイダンスで内容を確認して1つの講座を選んだ。
このゼミは、全講座とも「アクティブラーニング」という新しい勉強方法を採用する。学ぶ生徒の積極性を取り入れ、テーマも答えも生徒自身が考えて結論を出す。
指導者からのアドバイスは極力抑え、従来の「教える」授業から「自らが学ぶ」授業への転換とするのが、大きなポイント。
一方、もう1つの試み、「放課後英語スクール」は、民間学習塾の協力。浦安高校の校外組織、学校支援センター「浦高プライド」が浦安市内の英語塾と契約して、1年生を対象に放課後、手作りのアクティブラーニング室で学習する。
年間16回、年間受講料は千円。希望生徒を募ったところ、定員10人に21人が応募。事前テストで、12人が受講することになった。テスト結果を参考に、生徒一人ひとりに合わせたプログラムと教材が用意される。
若菜校長は「アクティブラーニングを取り入れた学習方法は理想的なものの、学年ぐるみで採用している高校は県内では聞いたことがない。今回実現できたのは講師の人たちの熱意と協力のおかげ。できれば今後も1年生を対象に実施したい」と話している。