専門家チームの中心メンバーとして活動してきた東北大の押谷仁先生が、Nature誌に, 日本がコロナ感染と死亡を低く抑えてきた理由について投稿した。世界で最も高齢者が多く、人口が密集している日本で、人口あたりの患者数および死者数は、他のG7諸国よりも大幅に少ない。日本は高齢者のワクチン接種率が高く、マスク装着率も高い。だが、コロナワクチンが開発される前から、死者数は少なかったため、マスク着用だけでは説明がつかない。
COVID-19は、重症化しやすいSARSとは異なり、無症状のまま他人に感染させるので封じ込めが困難だ。日本では憲法上、厳重な隔離ができないため、感染を抑えるには別の方策が必要だった。以前より日本では結核対策として、400の保健所で8000人以上の保健師が接触者追跡調査を行い、感染経路を特定してきた。このシステムがCOVID-19に適応され、2020年2月末までに、多くの感染クラスターを特定。少数の感染者が多くの人に感染させることに気づいた。
また、感染はエアロゾルを介して拡散するとして、3密(サンミツ)と呼ばれる閉じた環境、混雑した環境、密接に接触する環境―を避ける戦略を採用した。他国が消毒に⼒を⼊れていた中、日本は屋内の食事などで、リスクの高い行為を避けるよう指導した。多くの国民が従い、2020年の日本の流行語大賞は「さんみつ」になった。
一方、世界では経済優先で、規制を解除して「正常な状態に戻る」政策をとっていたので、感染者が急増、死者が多数出た。日本では国民が3密を守り、ワクチンの普及率が高いため、患者が増えても重症者や死者は少なくなった。以上がNature論文要旨だ。
オミクロン亜株BA.2、BA.2.12.1,が、南アフリカでBA.4, BA.5 が発生し、第6波を越える心配があった。だが最近1カ月のデータで、その心配はないようだ。ワクチン接種の有効性が証明されており、4回目接種も積極的に受けましょう