こんにちは。弁護士の矢野京介です。離婚時の財産分与では、共有財産であるか否かを巡って紛争となるケースがしばしば見受けられます。そこで今回は、離婚時に財産分与の対象となる「共有財産」と、財産分与の対象にならない「特有財産」について、簡単にご説明いたします。
共有財産とは、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産のことで、これが離婚時の財産分与の対象となります。共同生活における家具などの生活必需品、夫婦で協力して購入した車や不動産、預貯金、保険、有価証券、退職金などが該当します。
これらは、財産の名義が夫婦の一方になっていても、もう一方の貢献があったとみなされ、実質的には夫婦の共有財産です。例えば、婚姻後、夫婦で協力して購入した夫名義の車や不動産、夫婦で協力して貯めた妻名義の貯金などは、名義がどちらであっても夫婦の共有財産となります。
他方、特有財産とは、夫婦の一方が婚姻前から持っている財産や自己の名義で得た財産、または相続や贈与などで得た財産で、原則、財産分与の対象になりません。ただし「これが特有財産です。」と法律で定められていないため、特有財産か否かが問題となった場合には、婚姻時の通帳や取引履歴明細などの資料を収集し、特有財産であることを立証する必要があります。
なお、夫婦双方の合意があれば特有財産でも財産分与の対象とすることができますし、共有財産でも財産分与の対象から外すこともできます。
財産分与が原因で離婚の話し合いが纏まらないという方は、一度専門家に相談されることをお勧めいたします。