子宮頸がんはヒトパピローマウイルスが原因で感染するとされ、ウイルスに対するワクチンが開発され、このワクチン投与が世界標準となった。
日本では2013年4月に、世界に遅れて定期接種化された。だが注射による疼痛が取り上げられ、無効だと反対するグループもあり、6月に厚生省が積極的推奨を中止した。そのため、現在はワクチン接種を受ける人が稀で、子宮頸がんは年間1万1000人も発症、死亡者も2500人超に達した。特に20歳代から癌になるなど、若い母親世代には大問題だ。
今年10月、ワクチンが発がんを予防できる、との研究結果を、スエーデンのカロリンスカ研究所が発表した。スエーデンでは2007年に、13才から17歳の女性に4つのパピローマウイルスに有効なワクチン接種を開始。通常は3回接種だが、今回の研究では、1回でも摂取した人を接種群として、非接種群との子宮頸がん発症率を比較した。対象は、接種群53万人、非接種群115万人である。
結果は接種群で19人、非接種群で538人が子宮頸がんを発症。調査対象者の年齢でみると、10万人あたりの発症は、接種群47人、非接種群が94人と2倍の差があった。接種を17才未満と17才から30才で比較すると、17才未満接種では子宮頸がん発症リスクが88%低下、17才から30才接種では53%低下した。
従来は、接種で前がん段階レベルの発症が減ることはわかっていた。だが、前段階病変が本当に癌になるのか、疑問視する意見も多かった。今回の研究で、ワクチン接種で子宮頸がんの発症リスク低下が証明された。特に17歳未満に接種すると、発がんリスクが9割低下するという画期的結果で、若い女性を子宮頸がんから救うためにも、積極的接種を推奨したい。今年10月に当院でサーバリックスを接種した方は、痛みを訴えなかったが、痛みの軽減を工夫している可能性もある。