国立国際医療研究センターは1月から現在までの全国748施設からの4797例COVID-19患者の解析を報告した。入院時、酸素不要61.8%、酸素吸入29.7%、人工呼吸器やエクモ装着8.5%だった。入院時軽症と判断された人の2%が気管内挿管やエクモ装着を要した。2週間以内の濃厚接触者が58.3%、感染経路不明は4割強。併存疾患は、軽症糖尿病(14.2%)、高脂血症(8.2%)、脳血管障害(5.5%)などだった。
入院時症状は、(37.5度以上)発熱、咳、倦怠感、呼吸困難感が多く、軽症例では頭痛、味覚障害、嗅覚障害が多かった。発症から入院までの中央値は7日間。退院時、自宅退院が67%、ついで転院16.6%、医療機関以外の施設への入所が7.4%。軽症者では約8割が自宅退院となり、予後良好だった。
入院死亡は7.5%。挿管やエクモなどを要した人の死亡は33.8%と高かった。海外での入院死亡はイギリス:26%、米国NY:21~24%、中国:28%で、わが国は死亡例が非常に少ない。重症化しやすいのは、男性の高齢者、喫煙者や併存疾患(心血管系.糖尿病.COPDなど慢性肺疾患)の人だった。
8月31日の千葉県医師会の報告では、7月末をピークに感染者が減っており、一人が他を感染させる数、実行再生産数は1を下回っている。感染者数は減っているが、重症者が増えており、ワクチン開発が待たれる。
日本では遺伝子組替え、不活化mRNA,ベクターワクチンなど4種類のワクチン開発中で、海外ではアストラゼネカ.オックスフォードグループのウイルスベクターワクチンが3万人規模の臨床試験が進行中はじめ5社が開発中だ。アメリカのトランプ大統領が大統領再選目当てで、拙速に運用を開始する可能性があるが、日本は安全性を確認してから対応にすべきだ。マスクの着用、社会的距離をとるなど感染防御の徹底がさらに重要だ。