予防接種法によると「ワクチン接種は国民の努力義務」であることは10月号で紹介した。
しかし、厚労省の接種についてのお知らせには、強制ではない、強制してはいけないと、ある。予防接種法違反の通達である。接種しなくてもよいことを強調する通達には、国民の健康を守る気概が感じられない。
ウィキペディアによると、ワクチン接種は、1948年までは「罰則規定ありの義務接種」だった。しかし、1976年に「罰則規定なしの義務接種」、1994年からは「努力義務」となった。その背景には、副作用に対する損害補償請求の増加があると思われる。
新型コロナ感染は世界中に蔓延し、変異もどんどん繰り返している。ワクチンを「義務化」する以外に流行を納めることはできないし、経済の活性化もできないだろう。新型コロナワクチンが、天然痘等のように、終⽣免疫をもつわけではない。
インフルエンザワクチンは毎年、肺炎球菌ワクチンは5年に1回注射が必要だ。ワクチンの効果の持続性を決めているのは、抗体産生細胞(B細胞)とキラーT細胞、そしてそれらのメモリー細胞の持続性である。
時間と共に、免疫力が低下しても、ブースターとして、2回、3回追加してワクチンを接種すれば、抗体価が上昇する。
イスラエルは世界でもいち早くmRNAワクチン(ファイザー)の接種を終えた国だが、半年でファイザーワクチンのデルタ変異ウイルスに対する感染予防⼒は64%まで低下した。そして7⽉ 31⽇から60歳以上に3回⽬のブースター接種を開始。また、12歳以上の国⺠へのブースターを始めた。
2021年4⽉1⽇、ファイザーは、mRNAワクチン2回接種後1年以内にブースターとして3回⽬の接種が必要と発表した。2021年8⽉アメリカFDAとCDCは、ファイザーととモデルナのmRNAワクチンのブースター接種を承認した。日本でも3回目の接種への準備が進んでいる。