防犯・安全・法律

弁護士 京介 「家庭の法学」(87) 意思疎通ができない配偶者との離婚

 こんにちは。弁護士の矢野京介です。今回のテーマは「意思疎通ができない配偶者との離婚」です。配偶者が強度の精神病や認知症、交通事故による意識障害等で意思疎通がとれない場合、離婚は認められるのでしょうか。また、どのように離婚を進めるのでしょうか。

矢野京介
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 このようなケースでは、役所に離婚届を提出しても受理されず、話し合いもできません。まず裁判所へ成年後見人の選任申立を行い、配偶者に成年後見人を就けてもらう必要があります。そして、成年後見人を被告として、離婚訴訟を起こします。

 このようなケースの離婚問題は、病気を発症した配偶者に責任はありません。他方、離婚を求めた方は、ご自身も疲弊し、体調悪化から離婚を求めたが、罪悪感から苦しまれることも多い。夫婦双方に責任がない状況で、裁判では離婚を認めるか考えなければなりません。

 裁判所に離婚を認めてもらうには、離婚事由「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき(民法770条1項4項)」と「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき(民法770条1項5号)」に加え、病気になった方の離婚後の療養や生活を、離婚を求める側が具体的なケアを提案。療養・生活を維持できるかが必要です。

 「夫婦である以上、配偶者が病気になっても寄り添わなければならないという価値観」と「精神病等に対するケアは社会福祉の問題であり夫婦であるからといってケアを強いるべきではないという価値観」。単純な法律問題として割り切ることはできません。

 意思疎通ができない配偶者との離婚問題でお悩みの方は、一度専門家に相談されることをお勧めいたします。

葛西臨海ドリーム法律事務所

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