日本ではマスク着用には抵抗がないが、欧米人はマスク着用に抵抗を示す人が多い。トランプ前大統領がCOVID-19に感染したにもかかわらず、マスクを脱ぎ捨てた映像を思い出す。オミクロン株が蔓延する中、欧米では既にマスク無しに飲食歓談したり、スポーツ観戦している映像が目立つ。日本でもマスクを脱ごうとの意見が、政治家から聞かれるようになった。
そんな中、アメリカで「マスクは感染防御に有効」との科学論文が発表された。2022年2月28日、アメリカのマサチューセッツ州は、公立学校の生徒と職員に対して、マスク着用要請を解除した。これにより直ちに解除した学区と、解除せず6月までマスク着用を持続した学区のCOVID-19感染率を比較した論文が11月9日にNEJMの電子版で発表された。対象は生徒29万4084人と教職員4万5630人だ。
その結果、マスク着用しなくなった学区では、マスク着用を続けた学区と比較して、千人当たり44・9人罹患者が多かった。学校職員では千人当たり81・7人多く、生徒では千人当たり39・9人多かったと報告した。
すなわち、マスク着用期間を延長した学区の方が、マスク着用を解除した学区よりも、生徒と学校職員の感染者が少なかった。人数に換算すると、マスクをしなかった学区では1万1900人も感染者が多かった。マスク着用を継続した学区は古い校舎が多く、周囲の環境が劣悪だった。1学級の生徒数が多く、低所得家庭、黒人などの生徒や職員も多いなど、感染が広がりやすいと思われる学区だった。
それにもかかわらず、COVID-19感染者が少なかったことは、マスク着用の重要性を示すと結論づけている。人数に換算すると、マスクをしなかった学区では1万1900人多い結果だった。
マスク着用は最も簡単で安い防御法であり、インフルエンザや風邪などの感染予防にも有効だ。マスク着用を励行し、社会活動を活発化して経済を再生すべきである。