こんにちは。弁護士の矢野京介です。今回は「面会交流の間接強制」についてお話しいたします。
間接強制とは、強制執行手続きの一種です。義務を履行しない義務者に対して金銭の支払いを課すことを決定することで心理的に圧迫し、義務の履行を促す手続きです。
子どものいるご夫婦が離婚する場合、親権を取得できなかった親が離婚後に子供と交流することを面会交流といい、調停離婚などでは、この面会交流の条件についても定めるケースが多いです。
だが、離婚時に面会交流の条件や方法を定めたにもかかわらず、離婚後に監護親から面会交流を拒絶されることがあります。面会交流の場合、無理矢理子供を連れだして面会を強行するといった直接強制は現実的ではありません。そのため、監護親が面会交流の実現に協力してくれない場合には、間接強制を申し立てることで、金銭を支払わなければならないとのプレッシャーを与え、面会交流を自発的に実施してもらえるよう促すのです。
間接強制を行うためには、面会交流の内容について、調停や審判で取り決めることが必要になります。調停調書や審判書といったものが、間接強制を申し立てにあたって必要な「債務名義」になるからです。口約束や合意書等の作成のみで離婚した場合はもちろん、公正証書を作成していても面会交流の間接強制を申し立てるための「債務名義」にはなりません。間接強制を申し立てるには、まず面会交流調停を行う必要があります。
離婚後、お子様との面会交流を希望される方は、離婚時の取り決め方がとても大切です。面会交流でお悩みの方は、一人で解決しようとせず、一度専門家に相談されることをお勧めいたします。