7月7日に浦安ふじみクリニックを受診したタムス浦安病院看護師、さらに同院から転院した患者が、転院先で陽性が判明した。この時点でタムス浦安病院は、院内クラスター発生として、素早い対応をとった。
11日に千葉県に届け、12日には県が厚労省クラスター対策班に支援要請。13日に厚労省と県の支援のもと、院内に対策本部が設置された。平行して、11日から全入院患者と職員、出入り業者のPCR検査を行い、13日の対策本部の設置時には患者92人のPCR検査で14人、職員130人の検査で8人の陽性を明らかにした。PCR検査は、初回陰性であっても症状がある場合、何度でも行い、最終的に患者23人、職員17人の計40人の感染を明らかにした。
さらに対策本部は、入院患者の症状と入院ベッドの配置や職員の動きから、感染状況を詳しく検討。6月下旬から発熱者が増加したことから、この時期にクラスター発生と推測。5月21日入所の全介助で面会者もいない患者の6月25日初発を明らかにした。さらに特養から7月4日に入院した患者がすでに感染していたこと、7月10日に懇談会を施行した職員6人中4人の感染から、感染源は個の看護師ではなく複数であると推定した。
対策本部は感染防御対策を徹底。リハビリを中止し、リハビリ要員を全員2週間の自宅待機とした。浦安市救急隊の協力で、満床の病室から感染者を他院に転院させ、早期に適切な治療を行った。空いたスペースで、有症状者と無症状者を分けるゾーニングを徹底。また入院患者には自室内マスクを着用させ、対面の食事を中止して、互いの飛沫を浴びないようにした。
これらの適切な対策により、7月20日の発症を最後に感染は終息、8月4日に終息宣言が出された。実質10日間での終息は、最初に発症した看護師の勇気ある行動がきっかけで、病院と浦安市、千葉県、厚労省との密接な連携の結果だった。