文化

「青べか物語」 上映会 かつての漁師町に想いを 馳せ、浦安情緒に浸る

助監督・山本氏が秘話明かす

 「『青べか物語』それぞれの想い」出版を記念した東宝映画「青べか物語」(川島雄三監督)の上映会が4月26日、浦安市郷土博物館で開かれた。会場には事前申し込みした市民ら約80人がかつての漁師町・浦安の風情と人間模様を描いた作品を堪能していた。

半世紀経ても色あせぬ 川島作品の “すごさ”

 上映会の後、ミニトークタイムが開かれ、川島監督のもとで助監督を務めた山本邦彦氏が、林奈都子・主任学芸員の質問に答えた。
 このなかで、山本氏はロケハンについて「通常は半月ぐらいだが、 “青べか” では川島監督が漁師町の生活をつぶさに見たいと40日もかけた」と振り返った。

青べか物語上映会

上映会後に、川島監督の思い出などを話した山本さん(右)=郷土博物館

 撮影に当たっては、現地ロケのほか、天ぷらやのセット、堀江の街のオープンセットを撮影所に作って行ったという。
 また、作品に子供たちが出る場面があるが「地元の子供ではなく、東京の劇団の子供だった」ことを明らかにした。
 さらに「赤ん坊を背負って走る場面では、赤ん坊が心配だったが『(なにかあったら)また産めばいい』という話を(赤ん坊の母親から)聞いたときには、川島監督が飾り気のない住民のバイタリティーをコミカルに描いたのではないかと感じていた」ことを話した。
 このほか、山本氏は「川島監督が “死” を自覚して撮影に臨んだのではないか」と、難病を患っていた監督の心中を思いやった。
 そして「川島作品が古さを感じさせないのは斬新さと諧謔精神に場面が裏打ちされている」と、師匠のセンスの “すごさ” を称えた。
 山本氏の妻は当代島出身。ロケハン資料を寄贈した。

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