こんにちは。弁護士の矢野京介です。今回のテーマは、「年金分割制度」です。
「年金分割制度」をご存じでしょうか。年金分割とは、夫婦が離婚をした場合に、当事者の合意または裁判所の決定があれば、婚姻期間中の厚生年金を分割して、それぞれ自分の年金とすることができる制度です。
特に、長年専業主婦(主夫)として家庭を支えていた方は、離婚の際、年金分割をしなければ、わずかな国民年金だけで生活をしなければならなくなるおそれがあります。年金分割によって将来受け取ることができる年金の金額は大きくなりますので、離婚時には必ず年金分割を行うようにしましょう。日本の公的年金制度は、①国民年金②厚生年金③企業年金という3階建の構造になっています。年金分割の対象になるのは2階部分である厚生年金です。また、年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類あります。
合意分割は夫婦の合意または裁判手続によって年金を分割する制度で、3号分割は国民年金第3号被保険者が年金事務所に請求するだけで、対象期間の標準報酬が2分の1に分割される制度です。3号分割は、①平成20年5月1日以降に離婚した夫婦であること、②平成20年4月1日以降、国民年金の第3号被保険者期間があること といった条件が必要です。
ご自身が、合意分割と3号分割のどちらに該当するのかは、年金事務所に相談するのが確実です。
年金分割は、離婚をした日の翌日から2年以内に請求しなければなりません。離婚を検討されている方、年金分割をせずに離婚をしてしまった方は、一度専門家に相談されることをお勧めいたします。