浦安市を拠点とする株式会社「浦安防災」は、東京、千葉、神奈川、埼玉、茨城など関東一円であらゆる施設・建物の消防設備の点検、工事を進めている。
有事に備える
浦安防災は消防設備のプロフェッショナル集団だ。集合住宅、商業ビル、小中学校、病院、ホテル、重要文化財などの消防設備を点検しており、年間2800件を超える。
事業内容は消火設備、自動火災報知設備、避難器具設備、誘導灯設備、屋内・屋外消火栓設備、スプリンクラー設備、防排煙設備、連結送水管設備、非常放送設備など多岐にわたる。
河野晃一郎社長(46)は「消防設備は有事のときに使用する。しっかり点検しています」と話す。
管理しているマンションで火災が発生。担当者から「今、火災が起きている」と急報が入り、河野社長は現場に駆け付けた。鎮火後、消防署とともに担当者が消防設備を点検した。非常ベルは正常に作動し、防火扉は閉まっていた。連結送水管も正常で消火活動は順調に行われ、最小限の被害で収まったことを確認したという。
消防設備点検の仕事が入ると、担当者が現地に足を運ぶ。綿密に打ち合わせを行い、信頼関係を築く。
「病院の手術室の点検などは、事情によって臨機応変に対応します」
また、マンションのベランダの避難ハッチに重いものを置いている場合、住民に避難経路の確保を指導する。こうした積み重ねによって「浦安防災は動きがいい」という評価が高まっている。
事業継承
浦安防災は先代社長の保坂末吉さんが創業した。河野さんは30代で入社。先輩社員について現場を回り、勉強して消防設備士の資格を取得した。
平成29年、社長に就任し、事業を継承する。
「先代社長の思いを引き継ぎ、新しいことにチャレンジしたかった」
企業理念は「点検の積み重ねが命をつなぐ」。全社員が応募し、多数決で決めた。風通しのいい、明るい社風がうかがえる。河野社長は笑顔で語る。
「社員は仲間。宝です。命と財産を守るのが私たちの仕事。認知度を高め、顧客満足度をもっとあげていきたい。消防設備の点検は私たちにお任せください」
異色の経歴
河野社長は浦安出身だ。中学時代はサッカー部。10代から音楽活動を始め、ロックバンドでギターを弾いていた。ホテルマンに転身し、その後、浦安防災に入社した。浦安青年会議所で活動し、人脈を広げた。大切にしている言葉は「つらいときこそ、笑え」