一本の糸から始まる織染め…創る喜びを大事に
入船小体育館で4月16日開かれた浦安青年会議所の「日本の素晴らしさ」を子供たちに伝えるイベント。吹き流しの鯉のぼり(長さ50センチ、幅20センチ)を藍染めする親子連れ150人を指導したのが浦田さん。
木綿製の吹き流しは猫実でミシンスタジオ「ROE」を営む小野田恵美子さんが協力して制作。「浦安の子供たちのためにできるなら」と引き受けた。当日は「子供たちに楽しんで染めてもらいたい」と事前に青年会議所の有志メンバーにも藍染めを指導。
東京・浅草の染料店から仕入れた粉末状で、水に溶かして簡単に染まる「大和藍」を使って、吹き流しの目はペットボトルのキャップ、えらは輪ゴムでしばって模様を浮かび上がらせた。ジャパンブルーといわれる日本の藍を五感で感じとってもらうのがねらい。
幼稚園から浦安育ち。堀江中時代に美術工芸に興味を持つようになり、「布や糸を染めたり、織ったりしたい」と女子美術短大で、テキスタイルデザインを専攻。
卒業後、研究室に残り助手を4年務め、20年間、非常勤講師で後輩たちを指導してきた。染織工房は15年前、富士見に作り、当代島に移って14年。市川市との境のコンクリート打ちっぱなしの工房は “知る人ぞ知る存在”。
「平成22年から、当代島や堀江公民館主催事業で、大人向けの草木染め講座や手織り講座、夏休みには小中生に指導しています。玉ねぎの皮でハンカチを染めたり、ハーブを利用したりと、身近にある材料を利用し、エコを感じる染織講座を開催」
この6年間で大人、子供向け共に定員を上回り、抽選になるほどの人気。これまでに100人以上が受講。「後輩たちや地元への恩返し。子供たちが手からモノを創造する喜びを感じてもらえたらうれしい」という。
工房には北欧など国内外の手織機20台が並ぶ。「母校OG7、8人を含めた生徒10人を指導しながら、公募展やクラフトフェア個展に向けての作品を織っています。最近は七五三の着物やストール、マフラーなど絹や毛、綿、麻といった天然素材を中心に生活を豊かにする織物が多いです」
染織は「糸を染めて機にかけて一段一段ていねいに織るのに長いものでは数カ月。根気と勢いが求められます。工程も含めて自分で創る喜びを大事にしたい」と結んだ。