こんにちは。弁護士の矢野京介です。今回のテーマは「離婚慰謝料」です。
離婚慰謝料とは、婚姻関係の破綻について有責な行為をしたことを原因として離婚を余儀なくされた場合に、配偶者に請求できる金銭的な賠償のことをいいます。慰謝料は、精神的な苦痛を損害と捉えて金銭に換算し賠償させることを目的とした制度です。慰謝料を受け取ることによって、事実上、ご自身が受けた精神的苦痛を少しでも和らげたり、新たな生活をスタートさせるための支えとなるものとして機能することもあります。また、慰謝料を請求することで、配偶者に対して責任を自覚させ、反省を促す効果も期待できます。
離婚慰謝料の請求をするためには、離婚の原因となった行為の有責性、離婚原因と配偶者の行為との因果関係、精神的苦痛などを客観的に証明する必要があります。離婚慰謝料を請求できる有責行為には、①不貞行為、②暴力、③モラハラ行為、④無断での別居や生活費を負担したい等悪意の遺棄、⑤長期間にわたるセックスレス等があります。性格の不一致や宗教上の理由など離婚の原因が夫婦双方にある場合や、どちらにも責任があるとは言えない場合では、離婚慰謝料は認められない可能性が高いでしょう。
離婚慰謝料の相場は、ケースバイケースで大きく異なりますが、一般的には、50万円から300万円程度に収まることが多いといえます。そして、婚姻期間や破綻に至る経緯、双方の経済状況等を総合的に考慮して、離婚協議、離婚調停、離婚訴訟のいずれかの手続きによって決定されます。
配偶者の不貞行為や配偶者からの暴力、モラハラ等で離婚をお考えの方は、適切な額の慰謝料を受け取るためにも、慰謝料請求ができるのか、慰謝料の相場、請求方法等について一度専門家に相談されることをお勧めいたします。