「夢のような時間」
マルチェッロのオーボエ協奏曲
ヴェネツィア室内合奏団と共演
「夢のような時間でした。」―。10月2日、浦安市文化会館で開かれたヴェネツィア室内合奏団演奏会。バイオリン協奏曲「四季」など斬新で個性的なビバルディの世界を演出する同合奏団との初共演を果たしたのが浦安市出身のオーボエ奏者、中村大貴さん(22)。
出番は、おなじみのビバルディ作曲「四季」の「春・夏」を演奏、休憩をはさんで「秋・冬」に続いてやってきた。
イタリア・ベネチアの貴族・マルチェッロ作曲のオーボエ協奏曲ニ短調。映画「ヴェニスの愛」で第二楽章が挿入され、ポピュラーになった。
ヴェネツィア室内合奏団の素晴らしいハーモニーが会場に響き、聴衆を魅了した。世界的なオーボエ奏者で指揮者の宮本文昭氏に師事した中村さんのオーボエも渾身の演奏だった。
大勢の観客からの大きな拍手に、深々と一礼した中村さん。公演終了後、「世界的な合奏団と共演できたのが、まだ信じられません。きょうのステージは一生の思い出になります」と、ほほを高潮させながら話した。
ピアニストの母・洋子さんの影響で5歳からピアノを習い始め、「音楽が日に日に好きになった。県立津田沼高校音楽コースでオーボエに出合い、覚悟を決めた。東京音楽大学器楽科オーボエ専攻で、宮本氏に個人的に4年間レッスンを受け、音楽で身を立てたいと思うようになった」。
父はデザイナー、妹も建築を学ぶ “芸術一家”。今回の共演も昨年3月、浦安の隠れたアーティストを発掘する「Uスタイル」を主催する市施設利用公社の増山徳子さんとの出会いがきっかけ。
「大学卒業直後の今年4月に共演が決まり、まさかこんな素晴らしい機会をいただけるとは驚きました。演奏曲が決まったのが6月。練習に励むと同時に、リードというオーボエ本体の先端につける葦を材料としたものを研究し、本番までに良いリードができるよう毎日作っていた」と準備期間を振り返った。
共演を終えた中村さん、「このような貴重な機会をいただいた関係者の皆様に心から感謝でいっぱいです。これを機に今後も活動を広げ、邁進していきたい」と話した。