日本ではデルタ株を主体とする COVID-19 感染が下火になっているが、世界では南アフリカ発祥のオミクロン株が流行し、日本にも伝播している。折角の新型コロナワクチンの効果も低下する恐れもあり、有効なワクチン開発がすすめられている。
そんな中、新しい経口薬や中和抗体薬の開発が続いている。11月11日、米国・メルク社の経口薬のモルヌピラビルを英国医薬品庁が承認した。モルヌビラビル投与により、初期から中等度の感染者の入院死亡率を半減させたとの臨床試験の結果を受けてのものだ。
12日にはファイザー社が、経口薬バクスロビッドの緊急使用をアメリカFDAに申請した。臨床試験の結果、発症3日以内の治療開始で、プラセボと比較して入院、または死亡のリスクが89%減少。プラセボ投与群の死亡10例に対し、本剤投与群で死亡例はなかった。ファイザー社ではオミクロン株にも有効とコメントしている。
変異株に効果が期待される中和抗体薬のソトロビマブ(商品名:ゼビュディ)が、日本で特例承認された。ソトロビマブは SARS(重症急性呼吸器症候群)に感染した患者から得られた抗体を基にしたモノクローナル抗体だ。軽症 COVID-19 患者を対象とした第Ⅲ相のランダム化比較試験の中間解析で、ソトロビマブ500mg単回投与群(291例)では、プラセボ投与群(292例)と比較して、投与29日目までの入院、または死亡が85%減少した。
また、重篤な有害事象は,ソトロビマブ投与群で2%、プラセボ投与群で6%,との結果を受けての特例承認である。成人および12歳以上で体重40kg以上の小児に500mgを単回点滴静注する。本剤は、厚生労働省が所有した上で、対象となる患者が発生した医療機関からの依頼に基づき、無償で譲渡される。
フェレットに GS-621763 を1日2回経口投与したところ SARSCoV-2 量が検出不可能になった。GS-621763 は変異株にも有効だとしている。