現在、各地で中小企業や店舗は、後継者難に苦しんでいるが、浦安市内も同じ状況だ。浦安商工会議所は少しでも起業家を増やそうと「創業支援セミナー」を実施し、徐々に成果を生みつつある。
各分野の専門家が経営のノウハウを講演
浦安商工会議所と浦安市、市立図書館の3団体は平成16年から、この「創業支援セミナー」を行ってきた。浦安市は、創業を希望する人たちへの「研修セミナー」を、国が動き出す以前から行っていた。市立図書館が「ビジネス支援図書館推進協議会」とともに、(1)ビジネスプラン作成の基礎 (2)ビジネス相談会 (3)マーケティング調査相談会――を開催。
その後、商工会議所を巻き込み、創業を希望する人を対象に、経営知識の習得のため3団体共催による「創業支援セミナー」をスタートさせた。それが東日本大震災を機 に、平成24年度から商工会議所主催に変わったという経緯がある。
これに対し、国は平成26年に「産業競争力強化法」を成立させ、「アベノミクスの3本の矢」戦略を打ち出し、金融や財政などに力を入れてきた。しかし、浦安市内の危機感はそれ以上に強かったといえる。
創業支援セミナーは、「創業」に関心がある人や準備中の人、さらに創業したばかりの人を対象に、経営のノウハウなどを習得してもらうセミナーだ。講師は、税理士や中小企業診断士、ITコーディネーター、社会保険労務士、行政書士などの各分野の専門家である。
セミナーは商工会議所や図書館、文化会館の一室を使い、現在は年2回に分けて行っている。これまでに約300人が受講。飲食や美容などサービス業関係を目指す人が最も多い。中には弁護士になり、世話になった同セミナーで講師をつとめている人もいる。
商工会議所では東西線・浦安駅そばのビル「フェニックス」の2階に、創業したばかりの人に事務所スペースを貸し出し、専門家によるアドバイス受けたりする施設「インキュベート室」も設けている。
利用期間は原則1年間だが、更新して2年間まで入居が可能だ。使用料は月額5万円(水道、光熱費を含む)と格安である。
このインキュベーション施設には現在、「訪問看護ステーション あゆみ」(株式会社Fleek)などが入居している。
「あゆみ」の看護師、竹内純一さんは「セミナーには昨年6月から参加。さらにこの会社をどう知ってもらうか、ホームページの作り方、経営戦略などについて中小企業診断士や税理士の方に教えてもらった」と語る。
現在、同社の看護師3人は昨年8月からこのインキュベーション施設に入居、訪問看護を10月からスタートさせた。依頼された患者ごとに医者が異なるため、医者の指示のもとに動いており、ヘルパーやケアマネージャーとも連携を密にしているという。
同社代表取締役で看護師の佐藤隆太さんは「浦安市内で初めての男性看護師です」と胸を張るとともに、今後は地域に密着した訪問看護ステーションを目指したいと抱負を語った。 創業支援セミナーの成果が顕著な実例だ。
問い合わせは浦安商工会議所・中小企業相談所=でんわ047・351・3000まで。