こんにちは。弁護士の矢野京介です。今回は「離婚届不受理申出書」についてお話しいたします。
離婚はお互いの同意によって成立するものです。しかし、離婚したい人が相手と離婚の折り合いがつかない場合に、相手に無断で離婚届を提出してしまうことがあります。

矢野京介
夫婦の一方が離婚届を偽装し提出したとしても、書面に不備がなければ、役所はそれを見分けることができませんので、受理され、形式的に離婚が成立してしまいます。
そのような事態を未然に防ぐために「離婚届不受理申出書」があるのです。不受理申出書を提出しておくと離婚届は受理されなくなります。この申出書の有効期限は、以前は最長6カ月でしたが、法改正により現在では取り下げるまで無期限で有効になりました。
では、離婚届を勝手に偽装して提出されてしまった場合は、どうしたらよいのでしょうか。法律的には成立していなくても、形式的に一度成立してしまった離婚を取り消すためには、家庭裁判所に離婚無効の調停を申立てる必要があります。
離婚無効について合意ができ、事実関係についても争いがない場合は、手続きはスムーズです。合意ができない、事実関係に食い違いがある、相手が調停に出席しない、合意が相当でないと家庭裁判所が判断した場合は、調停は不成立で終了し、離婚無効確認訴訟を起こす必要があります。
調停や訴訟となった場合、かなりの時間と手間がかかってしまいますので、そのような心配があるかたは、念の為に離婚届不受理申出書を提出しておくことをお勧めいたします。