帯状疱疹は、神経に沿って帯状にウイルスが付着して強い痛みを伴う発疹ができる病気だ。水疱瘡のウイルスが残存して、後に帯状疱疹として発症するのである。ワクチンが開発され、多くの国で予防接種が行われている。

また高齢化社会を迎え、認知症になって、本人も家族も苦しむケースが急増して、世界共通の大きな社会問題となっている。
認知症とは知能・知性が低下する状態で、初期には老化による物忘れと混同されやすい。しかし、認知症は忘れたこと自体を忘れるのが基本の病気であり、進行すると妄想、徘徊などの異常な行動が見られるようになる。認知症は、「明日は我が身」となる可能性の高い病気であり、予防法が種々研究されてきた。
そんな中、イギリスのオックスフォード大学から、帯状疱疹ワクチンが認知症の発症リスクを低下させる、との研究結果が2024年7月の科学誌『Nature Medicine』で発表された。帯状疱疹ワクチンには「シングリックス」「ゾスタバックス」と呼ばれる二種類がある。現在は50歳以上の成人に対しては、予防効果がより高いシングリックスが推奨されている。20万人以上のデータを解析し、シングリックスを接種した人はゾスタバックスを接種した人より、ワクチン接種後6年間の認知症発症リスクが17%低いと報告した。また、他の感染症のワクチンと比較して、シングリックスが認知症の発症リスクを23~27%低下させると報告した。
日本でも、ゾスタバックスとシングリックスを用いての帯状疱疹予防接種が行われている。シングリックスは費用が高いが、浦安市も東京都も50歳以上の方の公費助成をしているので、高齢者は認知症予防のため積極的にシングリックス接種することを勧めたい。