漁師町の面影を残す浦安魚市場(浦安市北栄)が3月31日、施設老朽化などに伴い、閉場した。市民に親しまれた “人情市場” は半世紀の歴史の幕を下ろした。
浦安魚市場は戦後の昭和28年に組合を結成し、営業を始めた。目利きの店主らが客においしい食べ方を説明しながら、新鮮な魚に包丁を入れるなどして対面販売を行っていた。特に歳末大売り出しには正月の食材を求める買い物客でにぎわった。
営業最終日には閉場を惜しむ多くの市民が駆けつけた。市川市の男性は「週末によく買い物に来た。市場は出合いを作ってくれた」と語った。浦安市の女性は「お店の人が調理方法を教えてくれた。人とのつながりがあった。最後の日、ここにいたくてバスに乗ってやってきました。すごく悲しい」と話した。
同市場の長野敦彦理事長は「施設の老朽化や組合員減少、高齢化などで閉場する。寂しいの一言だ。でも、閉場セールには常連客や市場を惜しむお客さんがいっぱい来てきてくれた」と感謝していた。