少子高齢化に歯止めがかからないなか、日本人口学会第70回大会公開シンポジウム「生きることと幸せ」が6月2日、明海大学で開かれ、全国の研究者や浦安市民ら約200人が参加した=写真。4人の専門家の次のような発表に聞き入った。
大泉嶺・国立社会保障人口問題研究所主任研究官【進化的視点から見た「生」と「死」の役割】
▽影山純二明海大学教授【「生きること」の意味と「幸せ」:不満は行動の元】
▽佐藤一磨拓殖大学准教授【幸せの格差:専業主婦vs働く妻、夫より学歴の高い妻vs夫より学歴の低い妻】
▽黒須里美麗澤大学教授【人口の歴史が語る「生きることと幸せ」?!:究極のパネルデータに見る前近代庶民のライフコース】。
大泉氏はダーウィン進化論の「個体は遺伝子を運ぶ乗り物(ビークル)に過ぎない」ことから生と死を考察。人口が爆発しないのは共通の先祖を持つ生物が資源を巡って競争するため。ミトコンドリアは母親からしか伝わらないため人類の祖先は13万年前のアフリカの女性に行き着くなどを報告。
影山氏は満足度(不満度)に対するインパクトが最大なのは生殖年齢期など、3つの仮説から実証分析。満足度が低く、不満が深いことが必ずしも悪くなく、適応戦略上不可欠な要素―などと指摘した。
会場からは「幸せにならないのに子供をつくるのか」「いまの出生率の原因はどこにあるのか」など、少子高齢化にからめた質問が出された。