浦安市在住のジャズ演奏家、外山喜雄、恵子夫妻らが主宰する日本ルイ・アームストロング協会設立30周年パーティー“感謝の集い”が7月6日、東京・上野精養軒で開催された。協会は「銃に代えて楽器を!」として米国・ニューオリンズに楽器を送る事業を展開してきた。参加者たちはその業績とご機嫌なジャズに惜しみない拍手を贈った。
◇協会の歩み
協会は、ジャズの巨星、ルイ・アームストロング(愛称・サッチモ)にちなんで外山さんたちが中心となって1994年に発足した。
外山喜雄、恵子夫妻は早稲田大学を卒業後、ジャズの聖地、ニューオリンズに渡り、ジャズ修業を行った。ふたりが抱くかの地への思いは熱い。
1990年代、ニューオリンズの治安が悪化。銃による犯罪が多発していた。
外山さんたちは日本から楽器を送り、子どもたちに音楽の素晴らしさを体験してもらおうと提唱。市民や各団体、運輸会社などの賛同を得てトランペットなど多くの楽器を送り届けた。
また、ニューオリンズがハリケーンの直撃を受け、甚大な被害をうけたときは多額の寄付金を現地に送った。
恵子さんは「わたしたちには資金がなかった。でも、みなさんのちっちゃな、あたたかい心がひとつになって大きな力となった。奇跡的なことです」と振り返る。
◇被災地に恩返し
2011年、東日本大震災が発生した。
「今度はニューオリンズが日本を助ける番だ」としてニューオリンズから被災地の宮城県に楽器が届いた。
この縁で気仙沼の子どもたちのジャズバンドがニューオリンズを訪問。現地でジャズを演奏し、大歓迎を受けたという。
外山さんは「私たちがまいた種が花開いた」と語る。
◇ジャズの響演
感謝の集いには浦安市民ら多くのファンが訪れ、広い会場は満席となった。外山さんは「こんなに来てくれるとは」と喜ぶ。
外山喜雄さんとデキシーセインツがご機嫌なジャズを演奏。さらにゲストや早稲田大学の学生たちが登場し、大きな拍手を浴びた。
最後に少女2人が外山夫妻に花束を贈った。外山さんたちは花束を高く掲げ、拍手に応えていた。
外山さんは「感無量です。みんながひとつの家族になった。応援してくださった皆さんに感謝します」と笑顔を見せる。
また、恵子さんは「協会が30周年を迎えることができるとは思いもよらなかった。(ジャズの巨星)ルイ・アームストロングのおかげです」と微笑んだ。