成熟期に入った浦安にとって 商工業の活性化が必要
今秋、熊川賢司さん(59)は浦安商工会議所の新会頭に選任された。
「同じ世代や下の世代に『やってくれないか』といわれ、推薦された。最初は固辞した。だが、成熟期に入った浦安にとって、商工業の活性化が必要と考え、決心した」と語る。
任期は3年間だ。浦安の地域経済の発展に向けて舵取りを担う。
「内田悦嗣市長とは懇意です。行政と力を合わせてやっていきたい」
限られた予算とマンパワーの中で、「選択と集中」の原則に基づき、取り組むべき事業の優先順位を明確にする方針だ。
「自分ひとりでは決められない。会員、役員、職員とともに変えるべきところと、変えざるべきところを考える。10年後を見据えたビジョンを作り、しっかりと舵取りをしていきたい」と語る。
浦安商工会議所は創業支援セミナーに力を注いでいる。今季は11月から12月にかけて4日間コース。定員は30人だが、多くの応募があったという。セミナーでは若者からシニア世代までが経営者の心構え、目標管理、ビジネスプランの基礎、人材育成、販路拡大などを学ぶ。これまでに300人以上が受講し、起業した人も多くいる。
「新しい起業家を支援する。また、事業の継承と後継者育成も大切だ。両輪として取り組んでいきたい」
浦安商工会議所は現在、1870会員。工業、建設業、サービス業、飲食業など多彩な分野で構成されている。今後、会員を増やす方針で、2千会員を目標に掲げる。
「そのためには『商工会議所に入ってよかった』と思われるように事業を展開していく」
来年は東京五輪が開催される。浦安でも聖火リレーが行われる。
「盛り上げていきたい。多くの宿泊客が浦安に来る。浦安市といっしょに何かやることがあれば・・・。みなさんといっしょに考えてみましょう」
浦安の旧家に生まれた。熊川家14代目だ。早稲田大学理工学部を卒業後、大手企業に入社。コンピューター関連の仕事を続けた。30代で退社。浦安の不動産管理会社「ベアビル」代表取締役に就任した。
青年時代、知人に誘われて浦安青年会議所に入り、理事長を務めた。
「異業種の人たちと友人になれた。青年時代に築いた濃密な人間関係が人生の財産となっている」と笑顔で振り返る。
30代~40代はゴルフに熱中した。「自分で戦略を立てる。うまくいくと面白い。また、気心の知れた仲間と全国各地をゴルフツアーするのも楽しい」と、にこやかに語る。
歴史上の好きな人物は織田信長。好物は天ぷら。常々大切にしている言葉は「目的と手段」。袋小路に入っても、打破する力を重視する。