生まれ育った浦安の良さ、魅力を世界に発信したい
一般社団法人・浦安観光コンベンション協会会長の桑田幸一さん(73)は、生まれ、育った浦安をこよなく愛する。
「浦安には歴史と文化がある。何度でも訪れたい街だ。浦安の良さ、魅力を発信していきたい」と、にこやかに語る。
今年9月、ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会が開幕する。浦安市は強豪チームのニュージーランド、オーストラリア、南アフリカの公認キャンプ地となった。そして2020年東京五輪・パラリンピックが開催される。 「世界や日本全国から浦安にやって来る人が増える。浦安の街を楽しんでほしい」と話す。
青年時代、東京の築地市場で修業。家業の鮮魚店を継いだ。 「カキやイカなどを専門に売っていた。その頃、屋形船がブームになった。私は、天ぷら用のエビに着目し、販売に力を入れた。ヒットした。売り上げを爆発的にグングン伸ばした」と笑顔で振り返る。
浦安を愛する気持ちから浦安観光協会(当時)の副会長に就任した。小さな団体だったが、企業やホテルなどに呼びかけ、人のつながりを大切にして組織を大きくしていった。 観光だけでなく国際会議などを誘致しようと組織を一新。現在の浦安観光コンベンション協会に改名した。ところが、平成23年、東日本大震災が発生する。東京湾に臨む浦安市は、液状化による深刻な被害を受けた。
「ぐらんぐらん揺れた。町が一変した。土砂が噴き出した。樹木が倒れかかった。いや、びっくりした。悲しかった。むなしさ、やるせなさを感じた」 だが、市民は大震災に屈しなかった。自分たちの力で道路の土砂を除去。市は着々と復旧・復興事業を進めていった。
「住民が助け合った。連帯力を感じた。復興がどんどん進んだ。浦安の底力、たいしたもんだ」
震災後、同協会は市民が楽しみにしている浦安フェスティバルに全力投入。東北地方や九州など各地と協力して盛り上げていった。
浦安名物のひとつに屋形船がある。旧江戸川から東京湾に繰り出し、船上で新鮮な刺し身や熱々の天ぷらを味わい、一杯やる。これまでは原則として団体貸し切り制だったが、浦安遊漁船協同組合は家族やカップルらが気軽に楽しめる定期乗り合い事業を始めた。同協会は事業に協力し、貴重な観光資源としてアピールしている。 「屋形船は江戸時代、お大尽(富豪)の遊びだったが、市民も体験できる。潮風をほほに受けて粋に遊んでほしい」と笑顔で語る。
また、今年の晩秋からJR新浦安駅前広場をイルミネーションで光輝かせる計画を進めている。 「周辺の商店や企業などに呼びかけ、賛同を得て令和元年に始めたい」と意気込む。
来年6月には、4年に一度の浦安三社祭が開催される。若い衆が御輿(みこし)を担ぎ、「マエダ、マエダ」と独特のかけ声で練り歩く。浦安っ子の血が騒ぐ祭りだ。 「浦安三社祭はオリンピックの年に開催される。素晴らしい祭りだ。機運を盛り上げていきたい」