ジャズの聖地で受賞 日本人初の生涯功労賞
今年8月、ジャズの聖地、米国南部のニューオーリンズで音楽の祭典が開催された。外山喜雄さん(浦安市在住)はジャズ界の巨星、ルイ・アームストロングの愛称、サッチモの名を冠した生涯功労賞を受賞した。日本人初の快挙だ。
「何も知らされていなかった。びっくり仰天です。(亡くなった)サッチモが天国からいたずらしてるのかと思った。涙がこぼれそうになった」と振り返る。
音楽好きの少年だった。早稲田大学に進学。ジャズ系サークルに入る。その頃、ルイ・アームストロングが来日した。外山さんはコンサート会場に行った。「どうしても会いたい」と楽屋に潜り込んだ。ドアをノックし、入った。ジャズ界の巨星がそこにいた。ニコニコしている。愛用のトランペットが燦然(さんぜん)と輝いていた。許可を得て手にとった。たまらなくなった。「吹いちゃえ」。本当に吹いたのだ。
大学卒業後、就職。同じジャズ系サークルにいた恵子さんと結婚した。1年半後に退社。ニューオーリンズに〝武者修行〟の旅に出る。
「ジャズに惚れ込んだ。夢を追いかけたかった。その先どうなるか、考えなかった」
帰国後、バンドを結成した。東京ディズニーランドなどで演奏。ジャズ人生は軌道に乗った。やがて外山さんは「日本のサッチモ」と呼ばれるようになる。
外山さん夫婦はニューオーリンズを再訪した。町は銃犯罪が多発。麻薬が蔓延(まんえん)していた。
「衝撃でした。少年が銃犯罪に巻き込まる。学校には満足な楽器がない。お世話になったニューオーリンズに恩返しをしたかった」
日本で支援活動を始めた。合い言葉は「銃に代えて楽器を」。約850の楽器を贈った。
外山さんは日本ルイ・アームストロング協会会長だ。同協会は年末、浦安で懇親クリスマスパーティーを開く。「サンタクロースの扮装をして楽しいクリスマスソングを演奏します」と参加を呼びかけている。
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懇親クリスマスパーティーは12月23日午後1時、新浦安HUB(新浦安駅前・オリエンタルホテル東京ベイB1)。演奏は外山喜雄とデキシーセインツ。予約制。一般6500円。申し込みは、事務局047・351・4464。